日記なんかつけてみたりして

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2022-01-01から1年間の記事一覧

この門をくぐる者は(金沢旅行本編1)

9月23日、金曜日、秋分の日の東京は台風到来の予感を孕みながらもなんとか曇天でとどまっていた。台風の進路予想は、ちょうど私が金沢を満喫しているときに東海や関東をなぞって通り過ぎていくようで、正に台風から逃れるような旅、太平洋側の皆さんが苦しん…

京都音楽博覧会2022

のぞみ213号は午前9時ちょうどに東京駅を出発、流れてくるアナウンスが懐かしく、前回新幹線に乗ったのはいつだろうと思い返してみるとそれは3年前、今回と同じく京都音楽博覧会(以下「音博」)のための東京・京都間の往復だった。 ここ2回はオンライン開催…

金沢旅行(プロローグ編)

——ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しい、りっぱな名をつけようか、私は迷う。 フランスの作家、フランソワーズ・サガンは処女作『悲しみよこんにちは』をこのような書き出しで始めているが、私は金沢訪問のため…

水戸訪問(後編)

何かやらなければならないことがあったような気がしていたが、これだ。このブログの水戸訪問の後編を綴るのをすっかり放置していたのだった。三月下旬に訪問してから激動の四月が過ぎ去り、いざゴールデンウィークでじっくりこの日を振り返ろうと思っていた…

水戸訪問(前編)

三月の最終土曜日、お昼過ぎに私は常磐線特急ひたち11号に揺られていた。窓の外は曇天で、東京から千葉に入ろうかというところで窓に雨のラインがほぼ真横に入る。せっかく窓際の席を選んだのに車窓を楽しむことができない、と残念に思っていたが、雨はすぐ…

脂肪と郷土愛

ゆっくりと12月のあかりが灯りはじめ、慌ただしく踊る街を誰もが好きになる頃、オミクロン株の恐怖が襲いかかろうとしていた。年末年始に四年ぶりの帰省を企てる私の脳内では、奥田民生が「今年は久しぶり田舎に帰るから」とあの名曲の一節を口ずさんでいた…