日記なんかつけてみたりして

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2019-01-01から1年間の記事一覧

香港

5時間15分。その時間はいつも「現地に着いたらやりたいこと」を脳内に列挙して気持ちを高ぶらせる時間だった。香港行きの旅客機の機内、普段なら眼前のスクリーンに表示される「目的地までの時間」の数字が小さくなるのを期待と共にちらちらと眺めているはず…

ナンバーガールとのこと

ナンバーガールが解散したときの記憶がないのは、それが当時の自分にとって重大な出来事ではなかったからであろう。大学の軽音楽部の友人に影響され一通りは聴いていたつもりであるが、解散前と解散後の私の生活になんら変化はなく、再結成前と再結成後の私…

令和元年のフットボール

子供の頃、よく何をして遊んでいたか。漫才の導入によくある感じで始まったこの記事には残念ながら笑いの要素はほとんどなく、笑いを求める読者諸君は今すぐこの記事から離れて、YouTubeで霜降り明星の漫才でも見て欲しい。同じくお笑い第七世代で言えば、ハ…

プロローグ(スペイン篇7)

仕事始めを明日に控え、時差ボケが抜ける気配はなく、私の心はまだバルセロナでピンチョスを頬張っていた。午後9時過ぎにテレビをつけてみると、そんな私の社会復帰をより困難にする番組が放送されていた。見てきたばかりの景観が画面に映し出される。『NHK…

アディオス(スペイン篇6)

もはや、語ることはそう多く残されていない。ホテルで最後の朝食をとり、部屋の窓から見えるサグラダ・ファミリアに後ろ髪を引かれながら寂寞のチェックアウト。12:15の飛行機の便に間に合うようにホテルを出た。最後は少し贅沢をして、ホテルが用意してくれ…

聖堂内部(スペイン篇5)

目的地の近くまで来ているものの、なかなかそこに入れずに翻弄され続ける、そんな小説をフランツ・カフカが書いていたような気がするが、私も同じような状況に陥っていた。サグラダ・ファミリア聖堂のすぐ近くに、しかも部屋から見えるほど近くに滞在してい…

マドリード(スペイン篇4)

一歩足を踏み入れたとき、これまでの部屋とは空気が変わったような気がした。目の前には人だかりができていて、人々の頭越しに巨大な絵の上部が見える。 人混みをゆっくりかき分けて、絵の前に進む。幕が少しずつ開いていくように、絵画の全貌が眼の前に現れ…

ガウディの天才性(スペイン篇3)

何かが破裂する音で目を覚ました。iPhoneを手繰り寄せ、時間を確認してその音の正体を把握する。ちょうど日付が変わったところ、どこかで花火が上がっているのだ。 年が変わる瞬間に特に執着心はなく、眠りについていた。所詮、人間が恣意的に決めた瞬間であ…