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ナンバーガールとのこと

ナンバーガールが解散したときの記憶がないのは、それが当時の自分にとって重大な出来事ではなかったからであろう。大学の軽音楽部の友人に影響され一通りは聴いていたつもりであるが、解散前と解散後の私の生活になんら変化はなく、再結成前と再結成後の私の生活にもなんら変化はなかった。

毎年くるりのファンクラブ先行でチケットを入手している京都音楽博覧会、and moreの影からナンバーガールが登場した瞬間、チケット争奪戦が始まる。ナンバーガールの解散に涙し、ナンバーガールの再結成に涙した根っからのファンに譲るべきか、否、私とて主催者のくるりの根っからのファンである。

いつも行っている美容院のいつも切ってもらっている美容師さんがナンバーガールが好きで、京都音楽博覧会ナンバーガールを見られることになった私を羨んだ。『IGGY POP FAN CLUB』という曲が好きで〜チョキチョキ。晴れるといいですね〜チョキチョキ。

久々にギターマガジンを買った。表紙には「ナンバーガールに狂って候」という文字と、ギターを抱える向井秀徳田渕ひさ子の姿。ナンバーガールの曲の楽譜が載っていて、ギターを始めた頃の気分になって弾いてみる。『透明少女』とか『IGGY POP FAN CLUB』とか。気がつけば、iPhoneの音楽の「最近再生した項目」にナンバーガールの曲の数々が並んでいる。

ウェザーニュースとにらめっこをしていた。そして曇天の京都音楽博覧会当日。降らないでくれ、という願いは叶わなかったけれど、ナンバーガールを生で見るという願いが叶った瞬間。雨が降ってきた、と思った直後の音の圧力。聴く位置が悪かったのかもはや歌詞なんてよく聞き取れないけれど、言葉の意味が濾過されてただ「伝えたい」という意志にぶん殴られている感じ。打たれている雨が霧雨程度に思えてくる。

解散前と解散後の私の生活になんら変化はなく、再結成前と再結成後の私の生活にもなんら変化はなかったけれど、生でナンバーガールを見る前と後では何かが変わってしまったような、そんな気がする。それが私にとって初めてのナンバーガール

 

あの日濡れた髪が切られていく。いつも行っている美容院のいつも切ってもらっている美容師さんが京都音楽博覧会ナンバーガールを見た私を羨んだ。初めて生で見て感動したナンバーガールナンバーガール一色だった会場の空気を一瞬で自分たちの色に染めたBEGIN、そして何度見ても素晴らしいくるり。話している間に髪が切られていく。いいなぁ〜チョキチョキ。田渕ひさ子さんのギターかっこいいですよね〜チョキチョキ。髪の量が多いので、いつも目一杯すいてもらう。軽くなった頭で美容院を出るとあの日と真逆の好天。

ナンバーガールを聴きながら帰る。『鉄風 鋭くなって』の疾走感のあるベースラインに、あの日雨が降った瞬間のこと、その後に目にした光景を思い出したりしている。

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